
実は、『係争物に関する仮処分』は、更に、
(a)『占有移転禁止の仮処分』 (b)『処分禁止の仮処分』
の2つに分けられます。
ここでは、『占有移転禁止の仮処分』について説明します。
例えば、AさんがBさんにアパートの部屋を貸しました。Bさんは、家賃を滞納し続け、Aさんの支払いの催促にも応じません。そこで、Aさんは、Bさんに対して建物明渡裁請求訴訟を起こすことを決めました。Aさんは、無事裁判に勝ったので、Bさんに対して部屋の明渡しの強制執行をしようとしましたが、実はBさんは、裁判中に部屋をCさんに貸していたため、AさんはBさんに対しては強制執行はできなくなってしまいます。そのため、Aさんとしては、裁判を起こす前に、部屋をC(第三者)に引き渡さないようにする手続きをしておく必要があります。この手続きのことを、『係争物に関する仮処分』といいます。