Q 民事保全手続きとは、どういったものなのでしょうか?

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訴訟を起こした時に、相手方(債務者)の財産隠しという問題が出てくるときがあります。財産隠しをされると、訴訟で勝って強制執行をしようとしても財産のない相手方からは何も取れません。そこで、そうならないためにも、訴訟を起こす前(もしくは同時)に、財産隠しを封じる手段を打つ必要があります。その手段のことを民事保全手続きといいます。

Q 民事保全手続きの種類としては、どのようなものがあるのでしょうか?

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次の2つに分けられます。

  @『仮差押』
   ・金銭の支払いを目的とする債権(金銭債権)のための保全手続き

  A『仮処分』
   ・金銭債権以外の権利を保全するための保全手続き

  また、Aの『仮処分』はさらに、
    (ア)『係争物に関する仮処分』
      ・現状の維持を命ずる手続き
    (イ)『仮の地位を定める仮処分』
      ・係争中に生じている損害から債権者を保護するための手続き
  の2つに分けられます。

Q 仮差押とは、どういったものなのでしょうか?

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例えば、AさんがBさんに100万円を貸したとします。Bさんは、返済期限が過ぎても払おうとはしません。そこで、Aさんは、Bさんに対 して貸金返還請求訴訟を起こすことを決めました。しかし、Bさんにはめぼしい財産は自宅ぐらいしかありません。もし、Bさんが自宅を誰かに売って(処分して)しまったら、Aさんは裁判で勝っても100万円返してもらうことはできなくなります。そこで、Aさんは、自宅を処分できないように、唯一の財産を保全しておく必要があります。この保全手続きのことを『仮差押』といいます。

Q 係争物に関する仮処分とは、どういったものなのでしょうか?

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実は、『係争物に関する仮処分』は、更に、

  (a)『占有移転禁止の仮処分』
  (b)『処分禁止の仮処分』

の2つに分けられます。

ここでは、『占有移転禁止の仮処分』について説明します。

例えば、AさんがBさんにアパートの部屋を貸しました。Bさんは、家賃を滞納し続け、Aさんの支払いの催促にも応じません。そこで、Aさんは、Bさんに対して建物明渡裁請求訴訟を起こすことを決めました。Aさんは、無事裁判に勝ったので、Bさんに対して部屋の明渡しの強制執行をしようとしましたが、実はBさんは、裁判中に部屋をCさんに貸していたため、AさんはBさんに対しては強制執行はできなくなってしまいます。そのため、Aさんとしては、裁判を起こす前に、部屋をC(第三者)に引き渡さないようにする手続きをしておく必要があります。この手続きのことを、『係争物に関する仮処分』といいます。

Q 仮の地位を求める仮処分とは、どういったものなのでしょうか?

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例えば、Bさんが社長をしている会社で、従業員のAさんが、Bさんから不当な理由で解雇されました。Aさんは、会社に対し解雇無効確認訴訟を起こすことを決めました。しかし、当然のことながら裁判の間中、Aさんに対しては賃金が支払われることはないため、どうにかしてAさんは生活保障の手段を講じたい場合があります。そこで、判決が確定するまでの間、会社に従業員(賃金をもらえる権利)の地位を認めさせる手続きをしておけば安心です。この手続きのことを、『仮の地位を定める仮処分』といいます。