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裁判は、三審制が採られ、その第一審は訴えの提起によって開始されます。訴えの提起は、訴状を裁判所に提出して行います(簡易裁判所は口頭による提起が認められています)。
訴状には、原則として、請求の趣旨、請求の原因を記載しなければなりません。その他、当事者の氏名及び住所、事件の表示等が必要となります。
請求の趣旨とは、原告がどういう法律関係について、どういう内容の判決を求めるかを明らかにする訴状の結論というべきものであり、通常、求める判決の主文に相当する記載がされます。例えば、「被告は原告に対し、金100万円を支払え。」といった具合です。
請求の原因とは、請求の趣旨にいう結論がどのような法律関係に基づくのかを特定するために記載するものです。具体的な発生原因に基づき、契約の種類、契約締結の年月日、金額等を明示しなければなりません。例えば、「①原告は被告に対し、平成21年○月○日、弁済期を同年△月△日として、100万円貸し付けた。②平成21年△月△日は到来した。」といった具合になります。
答弁書とは、訴状が出された後、被告側から最初に提出される書面(準備書面といいます)です。訴状に対する応答と思っていただければ分かりやすいかと思います。
答弁書には、請求の趣旨に対する答弁(「原告の被告に対する請求を棄却する。」)や請求の原因に対する認否(「請求原因の①及び②は否認する。」)等を記載します。
答弁書は、裁判所が、被告の応訴態度を見極め、審理の方向性を見いだしていく上で、原告が最初に提出する書面である訴状に勝るとも劣らない重要な役割を果たしています。
民事保全は、①仮差押、②係争物に関する仮処分、③仮の地位を定める仮処分の3つに分けられます。
仮差押とは、金銭債権について、将来の強制執行がうまくいくよう、債務者の財産の処分権を制限しておく制度です。言い換えると、まだ債務名義(下記参照)は取得していないものの、これを取得するのに時間がかかった場合、債務名義を取得した時には、すでに債務者が財産を処分してしまったため強制執行できない、困った、といった事態にならないように、今のうちに債務者の財産処分権を制限しておく制度です。
係争物に関する仮処分とは、非金銭債権について、将来の強制執行がうまくいくよう、債務者に財産等の現状維持を命じる手続きです。仮差押と同じように、将来の強制執行を保全します。例えば、建物明渡請求権を保全するための占有移転禁止の仮処分や、登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分があります。
仮の地位を求める仮処分とは、判決が確定するまでの間、仮の状態を定めてもらうための処分です。強制執行の保全とは関係ありませんが、現状保全といえます。例えば、不当解雇を理由として解雇無効確認訴訟を提起する前に、その判決が確定するまでの間、とりあえず従業員の地位の確認及び賃金の仮払いを命じてもらうといったものがあります。
民事執行は、主なものとして「強制執行」と「担保権の実行」があります。
強制執行とは、債務名義に表示された請求権の実現を図る手続きです。強制執行を行うには、この債務名義が必要です。ちなみに、債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書のことです。債務名義の例としては、確定判決、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書・調停調書等があります。
手順として、まず確定判決等の債務名義を取り、これに執行文の付与を受けて執行力のある債務名義の正本を準備します。次にこの正本に基づいて債務者の財産を差し押さえ、これを換価し、換価代金をもって配当を受けます。
担保権の実行とは、抵当権等の担保権を行使する手続きであり、上記のような債務名義は必要ありません。ですので、執行手続きの手軽さから、貸付金等の担保として、不動産に抵当権を設定するのが一般的です。
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