こんにちは。隈本です。
今更って感じはするのですが、「司法書士ってなにする人?」ってよく聞かれることがありましたので、あらためて、ここでご紹介したいと思います。
司法書士が誕生したのは、古くは明治6年頃にさかのぼります。そのころ、証書人(今の公証人)、代言人(今の弁護士)などとともに、(今の司法書士は)代書人として活躍していました。その後、明治23年に代言人が弁護士と名称を変更する一方で、代書人は庶民の中で法律実務家として活動を続け、庶民の身近な法律家として認知されるようになりました。
その後、代書人は、大正8年に司法代書人法が制定されて司法代書人という名称に変更し、昭和10年に司法書士法が制定され、現在ように司法書士と呼ばれるようになりました。
そして、司法書士法は、数回の改正を経て、制度の合理化や職責の明確化が図られ、職域の拡大、地位の向上等が実現していきました。
このようにして、現在の司法書士という地位が確立していったわけですが、では、現在はどのような業務を行っているのでしょうか?
①登記
もし、司法書士をご存じの方がいらっしゃれば、業務として『登記』を思い浮かべるかと思います。司法書士の最も中心的な業務は『登記』ですし、日本の登記制度は、司法書士によって支えられているといっても言い過ぎではないかと思います。
実は登記にも、主なものとして2種類あります。一つが不動産登記、もう一つが商業登記です。
不動産登記とは、家を建てたり、土地を買ったり、相続したりしたときにするもので、一度ご経験なされた方はよくご存じですよね。
ちょっと話は、脱線するのですが、不動産登記(権利の登記)は、必ずしなければならないものではありません。つまり、義務ではありません。更に、登記には登録免許税という
税金がかかります。
しかし、みなさん、ほとんど登記をします。親が死んだので名義変更をしなければいけないとか、家を買ったので登記をしなければならないとか、よく言いますよね。じゃあ、なぜ登記をするのでしょうか?
それは、不動産に関する権利の変動(所有権移転とか)は、登記をすることによってはじめて第三者に主張できるからです。逆にいえば、実際に権利(所有権等)があっても、登記をしておかないと他人に自分の権利(所有権等)を主張することができないんです。(これを登記の対抗力といいます)
ちなみに、登記申請は法務局にします。
もう一つの商業登記は、会社勤め以外の方はなかなかなじみのないものですが、簡単にいうと、会社の戸籍を作るためにする手続き、それが商業登記といったものです。私たちは、市町村役場で自分の戸籍の謄本を取ることができますよね。それを見ると、生年月日や本籍地、父母は誰か等といった情報が記載されまています。そして、人が生まれたり・亡くなったり、住所が変わったりすると、市町村役場に届出をしなければなりません。これを会社に当てはめてみると、この届出が登記(申請)といったものです。そして、お聞きになったことがあるかもしれませんが、戸籍の謄本に当たるのが商業登記簿(登記事項証明書)というものです。この商業登記簿(登記事項証明書)には、会社の名称、本店所在地、設立の年月日、取締役が誰なのか等の情報が記載されています。
このように、会社(法人)を設立する場合には必ず登記をして、その後、会社に変更が生じれば必ずそれらの事項を登記して、会社の情報が分かるようにしておかなければなりません。なお、不動産登記と同様、登記申請は法務局にします。
以上が、商業登記といったものです。
②裁判関係業務
昔から、司法書士は、裁判所に提出する書類の作成業務を通して、当事者本人による裁判手続きを、後方から支援してきました。司法書士のアドバイスを受けながら、当事者本人が納得のいく手続きを選択して、裁判手続きを進めていくわけです。
このように、弁護士の訴訟代理人を立てないで本人による裁判手続きを本人訴訟といい、司法書士が背後から、本人訴訟の支援をすることで、裁判業務に携わっていました。
ところで、平成14年の司法書士法改正により、平成15年から、一定の研修を終了し、法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における一定の訴訟手続きに関しては、弁護士と同じように、当事者を代理して業務が行うことができるようになりました。また、紛争の目的の価額が140万円を超えないものについて、相談に応じ、又は裁判外の和解について代理すること等もできるようになりました。そして、これら業務のことを『簡裁訴訟代理等関係業務』といいます。
これによって、当事者本人の負担を少なくした方法も選択できるようになり、これでも紛争解決が図られることになりました。
③成年後見
高齢や障害のために、精神的・身体的に自分自身で財産管理や身上監護ができなくなった人を対象にして、必要な範囲で支援し、そのような人の権利を保護し、人間らしく日常生活を送ることができるようにする制度のことを、『成年後見制度』といいます。そして、これら支援する者を後見人といい、後見人がその人に代わって、預金や不動産などの財産管理をはじめ、その人にとって必要な判断や契約をしたりして、本人の財産や生活を守るわけです。
その中で、司法書士は、家庭裁判所への後見申立手続きを行ったり、司法書士自身が後見人となり、支援活動を行っています。
④供託
供託とは、金銭や有価証券等を、国の機関である供託所に提出して、その財産の管理を委ね、その供託所を通じてそれらの物を権利者に取得させることにより、債務の弁済、裁判上の保証等一定の目的を達成しようとするために設けられた制度です。
よく、選挙の立候補をするためには、予め公職選挙法に定められた金額を預けなければならない、などとお聞きになったことがあるかもしれませんが、これも供託です。選挙(没収)供託と呼ばれます。
これは、ある一定の投票数を獲得しない場合や、途中で立候補を辞退した場合には国又は地方公共団体に供託金は没収されますので、むやみやたらに立候補することを防止する役目があるわけですね。
司法書士は、この供託所に対する手続きを代理して行うことができます。
⑤上記の相談業務
上記について、相談に応ずることも業務となります。
ざーっと、説明しました。これで全部というわけでないのですが、まあ、こんなことができるんだなぁ、という理解は得られたのではないでしょうか?
それでは、今日の日記は、これで失礼いたします。
'09.9.15(Tue.)