こんにちは。隈本です。
どうやら、政権交代により、夫婦別姓に関する民法改正が、にわかに動き出しそうです。
一昨日のニュースによると、政府が、夫婦別々の姓を名乗ることを認める選択的夫婦別姓を導入する方針を固め、早ければ来年の通常国会に夫婦同姓を定めている民法の改正案を提出する方向で調整を進めるとのこと。
衆院選の政策集に「選択的夫婦別姓の早期実現」を明記した民主党政権が誕生したためですね。
夫婦別姓、ご存じですよね。
婚姻時に両者の氏(姓)を統一せず、夫婦それぞれが婚姻前の氏(姓)を名乗り続けることです。夫婦別氏とも呼ばれます。
現在の民法では、婚姻時に夫または妻のいずれかの氏を選択する「夫婦同氏原則」(民法750条)を規定しています。
婚姻届出の際には、夫婦同氏は必須の形式的要件となり、また婚姻期間中も、公文書においては夫婦が異なる氏となることはできません。
もし、夫婦が共に婚姻前の氏を継続使用したい場合には、日本のある党首のように、婚姻届を提出しないことで改氏を回避する「事実婚」や、婚姻届を提出した上で片方が旧姓を使う「通称使用」などで対処するしかありません。
夫婦別姓に関する議論は昭和50年代からすでにされているそうで、昭和51年には内閣府の世論調査に、初めて夫婦別姓についての設問が見られます。ただ、この当時は女性労働者の便宜の問題として捉えられており、必ずしも民法の改正を主眼としていなかったそうです。
その後、民法を改正し、婚姻時に夫婦が同姓か別姓かを選択する「選択的夫婦別姓制度」とする案が主流となり、平成2年頃より、国会に議員立法による民法改正案が提出されるようになりました。
また、法相の諮問機関である法制審議会では、平成8年に、選択的夫婦別氏制度を含む「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。
平成10年になると、民主党が民法改正案を共産・社民両党等と共同で国会に提出しましたが、自民党が「家族の一体感を損ない、家族崩壊につながる恐れがある」などと強く反対して、廃案となりました。その後も、毎年のように共同提出してきましたが、廃案となってきた経緯があります。
以上のような経緯があったのですが、強い反発を示してきた自民党が野党に転じた結果、与党と法務省の考えが一致し、政府提案による法改正が可能となった格好です。
ちなみに、民主党の民法改正案は、概ね法制審答申に沿った内容であり、
①結婚時に夫婦が同姓か別姓かを選択できる
②結婚できる年齢を男女とも18歳にそろえる
となっています。
しかし、別姓を選んだ夫婦の子の姓に関しては、民主党案が「子の出生ごとに決める」としているのに対し、法務省案は「複数の子の姓は統一する」としているため、今後、調整していくことが必要となるでしょう。
なお、民主党がこれまで提出してきた民法改正案では、
①婚外子(非摘出子)の相続差別をなくすこと(民法900条)
②再婚禁止期間を100日に短縮すること(民法733条)
も盛り込まれています。
これらの民法条文も、併せて改正されるのでしょうか?
以上説明した選択的夫婦別姓が、もしも実現するとなると、現行の夫婦同姓が1947年に民法に明記されましたので、約60年ぶりの大幅改正となります。すごいことです。
夫婦別姓に賛成の方、反対の方、それぞれに多々のご意見があるでしょうし、現場サイドでもかなりの混乱が予想されますので、今後の進展を、注意深くチェックしていく必要がありそうですね。
それでは、今日の日記は、これで失礼いたします。
'09.10.02(Fri.)