こんにちは。隈本です。
最近雨が続きますが、今の季節は一雨毎に暖かくなってくるといいます。
雨が明けると、桜の花見の時期となるんでしょうね。
ただ、今年は、既に咲いているところもあるようです。暖冬の影響でしょうか。
さて、今日は、登記簿謄本(登記事項証明書)のお話です。
土地や建物の不動産の登記、または会社の登記等の情報が欲しいときは、皆さんどうされますか?
例えば、職場に住宅手当の申請をする時などには、職場の担当者から、登記簿謄本(登記事項証明書)を提出して下さいと言われるかと思います。
また、ある土地を購入したい時とかに、その土地の名義人を確認するため、登記の内容を知りたいこと等もあるのではないでしょうか?
そういったときは、登記簿謄本(登記事項証明書)の取り寄せを行ったり、登記事項要約書を取得したりすることになります。
ここで、登記簿と登記事項証明書という言葉を併記して用いましたが、厳密に言うと、これらは違います。
そこで、まずは、登記簿謄本と登記事項証明書との違いを説明します。ほとんど同じものと思ってもらっていいのですが、話の流れ上、説明させて頂きますね。
昭和63年頃から、登記事務の効率化・迅速化等を進めるため、全国の法務局でもコンピューター化が始まりました。書面(登記簿)に記載してあるものを、コンピュータにデータとして入力していくわけですね。
ちなみに、名前からも想像がつくように、登記簿とは、登記所が管理している不動産の物理的概要や権利の得喪変更を記録したバインダー式帳簿のことをいいます。
不動産登記簿は土地一筆又は建物一個毎に一組の登記用紙が備えられ、一組の登記用紙は原則として3枚で構成されています。
1枚目は表題部といって、不動産の表示(物理的概要)に関する事項が記載されます。
2枚目は甲区といい、所有権に関する事項が記載されます。所有権の他、差押や所有権の仮登記等が記入されます。
3枚目は乙区といい、所有権以外の権利の関する登記が記載されています。抵当権、根抵当権、賃借権や地上権の登記等が記載されています。
ちょっと話がそれましたが、すると、当然、登記簿のデータがコンピューターによって管理されている法務局(コンピューター化指定庁(ブックレス庁))と、コンピューター庁になっていない法務局(ブック庁)が混在してくるわけですが、登記簿謄本はブック庁で交付されるもの、登記事項証明書はコンピューター庁で交付されるもの、をいうわけです。
登記簿謄本とは、登記簿(登記用紙)を複写し、登記官が登記簿の謄本である旨を認証したものです。
ちなみに、「謄本」とは、原本に対する語であって、原本と同一の文字・符号を用いて内容を完全に写し取った書面をいいます。権限のある機関が、原本の内容と同一である旨の認証をしたものは、原本又は正本と同様に扱われます。
そして、このコンピュータ化により、以前の登記簿に記載されていた登記事項をコンピュータに入力されたものが打ち出されたものを「登記事項証明書」といいます。
登記事項証明書は従来の登記簿の謄本・抄本に変わるものであり、不動産登記法及び他の法令において謄抄本と同一の効力があるものとされています。
その後、法務省により不動産登記事務のコンピュータ化処理が順次進められ、バインダー式登記簿は閉鎖され、現在は、宮崎でもそうですが全国の法務局は全てコンピューター庁になっていますので、登記簿謄本は登記事項証明書に取って代わっています。
しかし、今までのなごりで、両方を登記簿(謄本)と呼ぶ場合が多いわけです。ですので、呼び方が混在しているわけですね。
これは、以前のものと記載されている内容に変更はないのですが、縦書きだったものが横書きになった等、様式が変更されただけで、内容は同じものです。
同じような手続き(改製)は、市役所等の戸籍でも行われていますので、今の戸籍は、コンピュータのプリントアウトで横書きになっていますが、古い戸籍(原戸籍といいます)を見たことがある方は、手書きで縦書きになっていたのをご存じのはずです。
なお、登記事項証明書以外にも、「登記事項要約書」というものもあり、コンピュータにより打ち出してもらえます。
請求の方法は登記事項証明書の請求とほぼ同様ですので、現在の登記の情報を得るだけであれば、非常に手軽に得ることができますので便利です。
これは、以前の閲覧制度に代わるものですが、「登記事項証明書」と異なる点は、主要事項のみの記載しかなく、登記官の認証文や作成年月日等が記載されていないことです。
ですので、正式なものではないため、提出書類にはなることは、ほとんどないと思われます。(提出書類には、公式な登記事項証明書を求められるでしょう。)
なお、市役所での戸籍等が、本人またはその身内でないと取得できないため、登記事項証明書等も、対象不動産とは全く関係ない他人が、すんなりと取得することはできないのでは?と思われている方が結構いらっしゃいます。
しかし、不動産登記の制度は、戸籍謄本等と異なり、公示を目的として一般に公開されているため、誰でも登記簿を閲覧したり、謄本の交付を受けることができるようになっています。
ですので、登記事項証明書は誰でも取得することが可能です。ですから、当然、私達司法書士も報酬を頂いて、皆さんの代わりに取得したります。
私も、たまにですが、ご依頼を頂くことがあります。
長くなりましたので、この辺で終わらせて頂いて、次回は、登記事項証明書等をどうやって取得するのかということについてお話ししたいと思います。
それでは、今日の日記は、これで失礼いたします。
'10.3.25(Thur.)