こんにちは。隈本です。
今回は、前回に引き続き、登記事項証明書のお話です。
さて、前回でご紹介しましたとおり、登記事項証明書は、誰でも取得することが可能です。
ところで、急に話は変わりますが、私達司法書士の仕事は、大まかには、以下のように分けられると思います。
①皆さんができないこと、またはできないことはないが非常に手間がかかるため、
依頼する。
②皆さんで簡単にできるのだが、時間が取れないため、依頼する。
①のパターンの代表的なものとしては、登記申請などがあるでしょう。
②のパターンが、今回お話ししている、登記情報の取得になるでしょうね。また、戸籍謄本や住民票の取り寄せも同じものです。
ですから、私も報酬を頂いて、皆さんの代わりに登記事項証明書を取得したりしていますが、ご自身でも簡単に取得できますので、説明したいと思います。
まず、前提として、手数料(登記印紙)を納めれば、誰でも取得できます。
本人の委任状や承諾は一切不要です。印鑑もいりません。また、郵送申請も可能です。
ということで、それでは、不動産の場合を例に取り、具体的に登記事項証明書の取得方法について、説明します。
まずは、お近くの登記所(法務局の支局か出張所)に出向きます。当然のことながら、登記事項証明書は法務局が開いている時間でないと取れません。平日の午前8時30分〜午後5時15分の間に行きましょう。
なお、法務局は、コンピューター化されたので、他の管轄の登記簿も取得できるようになりました。例えば宮崎地方法務局で東京法務局や那覇地方法務局管内の登記簿を取得することができるようになりました。わざわざ遠くの法務局に行かなくても、お近くの法務局で他の管轄の登記事項証明書が取得できますので、昔と比べると便利になりました。
さて、法務局の不動産部門に行くと、登記事項証明書交付申請書が置いてあります。
現在の権利関係のみを知りたい場合には現在事項証明書を、過去から現在にいたるまでの権利関係の移り変わりも知りたい場合は全部事項証明書を取ることになります。
最初に、登記事項証明書交付申請書に、あなたの名前と住所を記載します。必要事項は、調べたい不動産が土地の場合は、土地にチェックをして「所在と地番」を記入し、建物の場合は、建物にチェックをして「所在地番と家屋番号」を記入します。共同担保目録が必要な場合はチェックする欄があります。
なお、実際の住所表示と地番は違うことに注意しましょう。地番は住宅地図(ブルーマップ)で調べることができます。もし、自分名義の不動産の場合でしたら、権利証や固定資産税の納付通知書などで分かるはずです。
申請書に必要事項を記入したら、不動産1つにつき1,000円の登記印紙を貼って請求します。ただし、1通の枚数が10枚を超える場合は5枚毎に200円を加算します。(印紙売り場が同じ建物内にありますので、登記印紙はそこで買えます。なお、登記印紙と収入印紙は違いますので、ご注意下さい。)
登記印紙は、右側に貼って、印紙には割印せず窓口に提出します。(登記印紙は申請用紙に貼って出しても、後から貼ってもよいでしょう。)
混み具合にもよりますが、3〜10分ぐらいで交付してもらえます。分からない時は窓口の係の人に聞いて下さい。丁寧に教えてもらえるはずです。
なお、登記事項証明書は、郵送でも請求することができます。登記事項証明書交付申請書に、必要事項を記入して、費用に応じた登記印紙を貼付します。この申請書と切手を貼った返信用封筒を同封して、管轄の法務局に郵送します。
ある程度時間(約1週間ほど)かかってしまうようですので、時間に余裕がある場合には利用して下さい。
似たようなものに「登記事項要約書」というものもあります。
登記事項要約書は、その不動産に関する現在の権利関係など一定の登記事項が記載された書面です。(この書面は全ての事項が載っているわけではありません。)
今まで、登記簿を調べる方法には、「閲覧」という方法がありました。これは、調べたい不動産を管轄する法務局(登記所)に行って、直接登記簿を見るという方法です。ですが、現在、法務局はコンピュータ化により、紙の登記簿から磁気ディスクに記録されるようになったため、直接登記簿を閲覧することができなくなってきています。
このようなコンピュータ化されている法務局で登記簿を見たいと思った場合は、閲覧の代わりに、「登記事項要約書」を請求したりするわけです。
手順は、登記事項証明書の場合と同じですが、登記事項要約書交付申請書という用紙に記載して下さい。
閲覧・要約書請求にかかる費用額は、不動産1つにつき500円です。ですので、登記印紙は500円になります。
登記事項証明書の取り方はある程度分かっていただけたでしょうか。
どうでしょう?簡単ですよね。
さて、次は不動産登記情報というものについて説明します。
登記記録を調べる方法は、
①登記事項証明書を取得するという方法
②登記事項要約書を取得するという方法
③法務局に出向いて閲覧するという方法(利用することが少ないため、今回は詳しく
説明していません)
の他に、実は、
④インターネットで調べる方法
という方法もあります。
そこで、④の方法「インターネットで登記記録を調べる方法」について説明します。
従来は法務局に行って、閲覧や登記事項要約書を請求するか、登記事項証明書を取得するしか、登記記録を調べる方法はありませんでした。
ところが、近年「オンライン登記情報提供制度」ができ、コンピュータ庁の登記所が保有する不動産の登記情報は、インターネットを利用して、一般利用者が自宅や事務所のパソコンで確認することができるようになりました。
これによって、忙しくて法務局になかなか行けないという方も一定の登記記録を確認できるようになり、非常に便利になりました。
ただし、確認できる情報には一定の決まりがあり、また、手順に従って手続きを行う必要があります。
1. 利用手順の流れ
利用方法は2つあります。
(1)予め財産法人民亊法務協会に利用者登録して、利用者識別番号(ID)とパスワードをもらい、利用する方法。
(2)「一時利用」といって利用者登録をせず、クレジットカードの即時決済により利用する方法です。
①「利用者登録」方法の流れ
個人利用者の利用者登録の流れは以下の通りです。
インターネット登記情報提供サービスにアクセスして、「ご利用の前に(利用者登録)」から利用者登録画面に行き、必要事項を入力して登録してください。これにより、協会は、申込者に1週間程度でIDとパスワードを送付して、登録が完了します。
登録完了後、協会にネット上から登記情報の請求が出来るようになります。登録には費用が数百円かかります。
②「一次利用」の方法の流れ
インターネット登記情報提供サービスにアクセスして、トップの「LOGIN」をクリックします。「一次利用者」を選択して進み、必要事項を記入、クレジットカードで即時決済して、登記情報を確認することができます。
2. 利用時間
利用時間は、午前8時30分から午後7時までで、土曜日、日曜日、祝日及び休日 、1月2日及び3日並びに12月29日〜12月31日までの間は利用できません。
ちなみに、平成21年10月1日から、利用料金が値下げとなりました。
提供される情報の種類 手数料額(1件) 変更前 → 変更後
全部事項(不動産登記、商業・法人登記) 480円 → 465円
所有者事項(不動産所有者名と住所のみ) 170円 → 155円
地図、図面等の情報の提供 470円 → 455円
動産譲渡登記事項 概要ファイル情報 440円 → 425円
債権譲渡登記事項 概要ファイル情報 440円 → 425円
最後に、一つ。
当事務所では、お客様からご依頼があった場合、取り寄せ報酬を970円/部、頂いています。
しかし、登記事項証明書をオンライン申請で取り寄せるため、通常どおり登記所で取り寄せると手数料1,000円かかるところ、700円で取り寄せできます。
ですので、実質的には、670円でのご依頼といったことになります。
時間がない方は、ご依頼下さいね。(ですが、オンライン設備や手間を考えると実質赤字なんですよね。はは・・・)
最後が宣伝ぽくなってしまいましたが、登記の情報は、以上のようにして得ることができるわけです。
それでは、今日の日記は、これで失礼いたします。
'10.3.26(Fri.)