こんにちは。隈本です。
今年の梅雨は、雨がよく降りますね。
雨が嫌いな私は、外に出るのがおっくうになります。
さて、最近、民法が改正されました。
今回の改正では、「親権停止制度の新設」「申立権者の見直し」「親権喪失の要件の見直し」「未成年後見制度の見直し」等がおこなわれております。
それでは、以下、簡単にご紹介いたします。
親による児童虐待を防止し、子供の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人または複数の未成年後見人の選任を認める等の改正民法が5月27日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。(平成24年4月から施行される見通しです。)
法務省HP http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00043.html
主な改正点は以下のとおりです。
民法等の一部を改正する法律(法律第61号)
【抜粋】
1. 離婚後の子の監護に関する事項の定め等父母が協議上の離婚をするときは、子の監護
をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担そ
の他の子の監護について必要な事項は、その協議で定めるものとし、この場合において
は、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとしました。(第766条関係)
2. 15歳未満の者を養子とする縁組について、その法定代理人が養子となる者に代わって
縁組の承諾をするには、養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときは、
その同意を得なければならないとしました。(第797条第2項関係)
3. 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うこと
とするとともに、懲戒に関する規定について所要の見直しを行うこととしました。(第820条
及び第822条関係)
4. 親権の喪失
① 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が
著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、
子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母について、親権喪失の
審判をすることができるとしました。ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあ
るときは、この限りでないとしました。(第834条関係)
② 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき
は、家庭裁判所は、子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母に
ついて、2年を超えない範囲内の期間を定めて親権停止の審判をすることができるとし
ました。(第834条の2関係)
③ 父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害すると
きは、家庭裁判所は、子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母
について、管理権喪失の審判をすることができるとしました。(第835条関係)
5. 未成年後見人に複数の者又は法人を選任することができるようにするための所要の規
定の整備を行うとともに、その選任に当たり家庭裁判所が考慮すべき事情を明記するとし
ました。(第840条、第842条及び第857条の2関係)
6. その他
民法の改正に伴い、家事審判法及び戸籍法について所要の改正を行うこととしました。
もう少し分かりやすく説明しますと・・・
◆親権の喪失の制度等の見直しとは?
①2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権の停止制度の新設
現行の民法(834条)には、20歳未満の子の親権を親から奪う「親権喪失」の制度が
あります。ただ、期限の定めがないため、虐待被害の対応にあたる児童相談所などが
親子関係の断絶につながりかねないことを懸念して、申立てをためらうことが多く、虐待
防止の有効な手段になっていないと指摘されていました。現に、児童相談所長が家庭裁
判所に親権喪失を申立てるのはまれで、最高裁判所が把握したケースは平成20〜21
年の2年間で計12件にとどまっています。
改正法では「親権の行使が困難または不適当で、子の利益を害する場合」に、2年以
内の範囲で親権を停止できるようにしています。
また、改正法は、親権喪失が認められる場合も「虐待または悪意の遺棄がある」「子の
利益を著しく害する」などの条件を明確にしました。
②親権の喪失等の家庭裁判所への請求権者の見直し
これまで、親権喪失の宣告を家裁に請求できるのは、子の親族か検察官、児相所長
だけでしたが、改正法では範囲を拡大し、虐待された本人や未成年後見人でも、親権の
喪失や停止を請求できるようにしました。
家裁が審判を行い、親権停止の場合は子の身体や生活状況などを考慮して期間を
定めます。
◆未成年後見制度等の見直しとは?
①法人または複数の未成年後見人の許容
親がいない子の世話をする未成年後見人については、「1人(個人)だけ」との規定を
削除し、担い手不足への対応や施設退所後の子のケアを考え、複数の個人や法人でも
選任できるようにしました。
◆その他
・子の監護及び教育が子の利益のためにされるべきことを明確化
・懲戒に関する規定の見直し
・離婚後の子の監護に関する事項の定めとして面会交流等を明示
予定では、来年4月から施行される見通しです。
民法を勉強されている方は、ご注意くださいね。
それでは、今日の日記は、これで失礼いたします。
'11.6.22(Wed.)